ふいに宮沢賢治を訪ねる旅をしたいと思い、岩手に行った際に3か所の施設をまわってみました。
花巻
岩手県花巻市は宮沢賢治が生まれた場所です。
花巻農学校の教師もしていた賢治にとって、花巻は特別な地であったことが想像出来ます。
その花巻に「宮沢賢治記念館」、「童話村」があります。
この2つはかなり近い場所にあるので両方行ってみてもいいと思います。
宮沢賢治記念館

終わるのがこちらの方が早かったので、先に記念館に寄りました。
色々な資料などが展示されており、ひと通り宮沢賢治を知れる感じですが、資料の羅列が続く感じなので、子供さんには童話村の方がいいかもしれませんね。
駐車場側に「注文の多い料理店」に登場する「山猫軒」と同じ名前のお土産屋さんもあります。
下から歩いて登るとかなり大変、との口コミがありましたが、確かに大変そうです。
何かルートがあるんでしょうか。
車だと脇に記念館入り口があるので、すんなり入れます。
複数まわる方は共通券がお得だそうです。
今回童話村と記念館の共通券を買いました。
500円くらいだったかな。
他の施設もそうですが、市や県が運営しているのか、かなり見やすい価格設定です。
宮沢賢治記念館
〒025-0011
岩手県花巻市矢沢第1地割1−36
TEL 0198312319
開館時間 8時30分~17時00分
休館日 12月28日から1月1日まで
https://www.city.hanamaki.iwate.jp/miyazawakenji/kinenkan/index.html
宮沢賢治童話村
よく分からずに童話村に行ったのですが、こちらは「体感として」宮沢賢治の作品の世界を感じられる施設だと思いました。
お子さんなどと行くならこちらだと思いますし、大人が行っても楽しめました。

知らなかったんですが、童話村の施設内が童話の森、と名付けられたオブジェなどがある空間でした。
自然の中に色々なモチーフがあって、今回訪れた2025年は7月19日~10月26日まで土日祝に夜間ライトアップをしていました。
たまたまだったんですが、とっても綺麗でした。
宝石やキラキラと光るイメージも宮沢賢治の作品世界を再現しているのでしょうか。
幻想的で素敵でした。
カップルなどもいて大人が楽しんでる感じでしたね。
雨でしたが、森のなかに輝くオブジェは美しく、行って良かったなと思っています。
しかも行ったのが2025年の10月19日だったのですが、この数日後から岩手の市街地に熊が現れだして、翌週の25日からライトアップイベントは中止になってしまったようです。
運よく見れて良かったですが、警備員の方々も雨に濡れながらも感じよく頑張られていましたし、思ったよりも駐車場も車で一杯で盛況そうだったので残念ですね。
このライトアップと童話村は無料なんでしょうか。
チケット出したら、このチケットはあちらの施設です、と言われました。
この施設内を歩いた先に白い建物があって、童話村の有料部分はここのみのようです。
他にも小屋のような場所があって、そこにも一部展示がありましたが、無料で見れるようです。
おみやげやさんもありました。
有料部分の最初の方の部屋では、宇宙をイメージした部屋で一面ガラス張りの空間があって、キラキラと無限に広がる感じが圧巻でしたよ。
共通券もありますし、価格も良心的なので入ってみてもいいと思います。
小さなお子様も楽しめる施設だと思います。
宮沢賢治童話村
〒025-0014
岩手県花巻市高松第26地割19
TEL 0198312211
開館時間 8時30分~16時30分
休館日 12月28日から1月1日まで
https://www.city.hanamaki.iwate.jp/miyazawakenji/dowamura/index.html
産直センター「あかさ」

花巻市にある道の駅?のようなところなんですが、とにかく果物が安かったです。
10月に行ったらりんごとぶどうが山のようにあったのですが、関東県内からきた私たちにとっては、どれもお安くてそして帰って食べてみたら美味しかった。
車の方はちょっと立ち寄ってみるのもおススメ。
他の時期にはどのくらいあるのか分かりませんがどれを選べばいいのか分からないくらいありました。

ぶどう100%のジェラードも。
美味しいです。
記念館から車で30分くらいだったかな。
こういうところにも寄りながら観光するのが、旅行の楽しみでもあります。
産直センター あかさわ
〒028-3535
岩手県紫波郡紫波町遠山松原7−1
TEL 0196765201
営業時間 9時00分~17時00分
一関
一関にも少し変わった宮沢賢治の施設があります。
石と賢治のミュージアム
宮沢賢治と言えば石、というくらい関りが深かったのが鉱物です。
そこに重点が置かれているミュージアムで、物語のなかに出てくる石なども展示してあったり、賢治と石の接点が深堀されています。
結構いいなと感じたのが、宮沢賢治について短いビデオでまとめられている解説を見せて頂けるのですが、あまり知らない人にも分かりやすくまとめられていて、資料を読むのが苦手、という方にもいいと思いました。
あとは、紫外線ライトを当てると光る石を集めたコーナーなどもあって、実際に電気を消したり、点けたりして実演して下さるのが、誰でも楽しめていいなと思いました。

このミュージアムは花巻からはわりと離れているので、記念館などと一緒にまわる方は少ないかもしれません。

倒れる前の晩年期に賢治は石灰などの肥料の販売を行なっていました。
宮沢賢治が昭和6年に技師として活躍した工場がこのミュージアムすぐ脇に残されています。
病み上がりで全国に仕事で駆け回った賢治は病にかかり、数年病床生活を送った後に亡くなりました。
そして病床のなかで「雨ニモマケズ」が書かれました。
そこに至るまでの過程と、農民の幸せ、みんなの幸せ、そして賢治が追及した「ほんとうのしあわせ」に焦点が当てられたミュージアムだと思いました。
花巻からは離れていて、ここだけポツンとある印象ですが、胸に入ってきて深く印象に残ったのはこのミュージアムでした。
ものすごく大規模な派手な展示があるという訳ではないのですが、宮沢賢治が現実社会で奮闘した空気感のようなものが、まだこの土地に残っていて、賢治が追及したみんなの幸せ、そして作品にも度々登場する自己犠牲の精神、「みんなが幸せになるのならこの身体が朽ちても構わない」という思想が、ここに残されているように思いました。


もう一週間でも旅行の日程がずれていたら、熊被害が怖くてこの一連の施設巡りも、違う場所に変更していたかもしれません。
そして今回岩手を訪れた私は、賢治が亡くなった年齢と同じ年齢です。
岩手はいいところだなーと現実逃避しながら、宮沢賢治の世界に浸っていましたが、賢治がもし生きていたらもっと農民のために貢献出来たのではないか、と言った趣旨の文章があり、私もまだまだ現実でやることがあるなと鼓舞される思いもありました。
何だか色々なタイミングで呼んでもらったような、不思議なご縁を感じました。
石と賢治のミュージアム
〒029-0303
岩手県一関市東山町松川滝ノ沢149−1
TEL 0191473655
開館時間 9時00分~17時00分
月曜定休
http://www.city.ichinoseki.iwate.jp/index.cfm/6,0,149,html
他の宮沢賢治の関連施設は花巻に集中しているので、旅のプランでも組み込まれていないことが多いですが、お近くを通る方はぜひ立ち寄ってみて下さい。
まとめ
宮沢賢治は生涯過ごした地である岩手を「イーハトーヴ」と名付け、物語のなかに描いていました。
賢治にとって岩手は「理想郷」であり、実際の出生地だけではなく「ほんとうの故郷」であったのだと思います。
そこを訪ねて宮沢賢治の残した色々な痕跡を見ることで、作品の世界観や人物像がすんなりと入ってくるような感覚があります。

童話村で買ったしおりを夜見ていると、夜の童話村の空気感が蘇ってきます。
そしてそれと共に宮沢賢治の物語の世界が現れて来るかのようです。
これは作品だけを読んでいたら、起こらなかった感覚でしょう。
私だけではなくこれを読んだ皆さんにも、同じように花巻に訪れて、これらの施設を見学することで生まれる新しい感情があるかもしれません。
岩手に行った際にはぜひ行ってみてはいかがでしょうか。

